「い~とみる」を活用し、多職種で食支援に取り組んだ事例
「い~とみる」を使用すると現状の”食べる力”が五角形のレーダーチャートに反映されます。これにより、漠然と頭でイメージしている”食べる力”が見える化され、改善策のヒントや取り組みの方向性が示されます。
また、継続して記録することによって継時的な”食べる力”の変化を把握できます。
事例1 「食べ方」の見直し
前頭側頭型認知症 Kさん:
食事を認識をすると早いスピードでかき込みながら食べ、頻繁にムセていた。
●ミールラウンド参加職種
歯科医師、歯科衛生士、管理栄養士、介護職員
●課題
早食い傾向のため誤嚥や窒息しないか不安
●対応
「い~とみる」のコメントを参考に食事提供の方法を見直した
=>ランチプレートで提供していた食事を、一口ずつ小分けされた食器で提供した
一皿食べ終わると箸を置き、食事のペーシングや食事時間は安定し、食事中にムセることもなくなった
<改善前/改善後の状態変化>
事例2 「食形態」の選択
アルツハイマー型認知症 Hさん:
入所前に別施設で提供されていた食品では、飲み込みづらそうにしていた。
●ミールラウンド参加職種
歯科医師、歯科衛生士、管理栄養士、介護職員
●課題
捕食するが、口腔内に溜め込んでしまい飲み込むまで時間がかかる
●対応
「い~とみる」のコメントより食形態の物性(とくに付着性・流動性)に配慮して提供
食形態の変更により摂取量が増加し、食支援を継続してから2か月後には自力歩行できるようになった
<改善前/改善後の状態変化>
事例3 「覚醒状態・低栄養」の改善
アルツハイマー型認知症 Aさん:
アルツハイマー型認知症と精神疾患があり、落ちつかず多動で、突然大声を出したり怒り出したりすることがあった。そのため、抗認知症薬に加え、複数の向精神薬が処方されていた。食事時の覚醒が悪く、自力摂取が困難であるため施設職員が食事介助しているが、それでも低栄養が続いている。
●ミールラウンド参加職種
看護師、歯科衛生士、介護職員
●課題
覚醒が悪く、食事摂取量が安定せず低栄養をきたしている
●対応
「い~とみる」のコメントを参考に、主治医に相談して処方薬の変更と減薬を行った。
また、補助栄養食品を追加するとともに食事中の姿勢を安定させるため、テーブルの高さ
調整とクッションを利用した体幹調整を行った
<食事提供(食形態の変更)>
改善前 | 粥ゼリー(学会分類2013:1j)、ソフト食(学会分類2013:3) |
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改善後 | 粥ゼリー(学会分類2013:1j)、ソフト食(学会分類2013:3) 全量=>半量へ変更。 補助栄養提供 1日3個(学会分類2013:1j) 経口・経腸栄養剤のプリンを付加 ※改善後の食形態を継続提供 |
嚥下調整食学会分類2013 : 略称(学会分類2013)
<改善前/改善後の状態変化>
全介助ではあるが、落ちついて食事が摂れるようになり、3か月で体重が3,2㎏増加した
< 使用事例4-5 >
嚥下調整食学会分類2013
「『日摂食嚥下リハ会誌17(3):255–267, 2013』 または 日本摂食嚥下リハ学会HPホームページ: https://www.jsdr.or.jp/doc/doc_manual1.html 『嚥下調整食学会分類2013』 を必ずご参照ください。」